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憧れはいつも届かぬ位置にある

書院にお雛様が飾られました。
静かにお庭を眺めていらっしゃいます。狭い箱から広い広間に移られて、清澄な空気をたっぷり吸いこんでいられるのでしょうけれど、そんなそぶりは見せずに、楚々として座っていらっしゃいます。私は主に調度を並べましたが、一つ一つのお道具の細かな美しさに見とれてしまいました。
七段飾りの立派なお雛様を飾るのは、生まれて初めてです。飾る日が来るのを、毎日とてもとても楽しみにしていて、昨日ようやく夢が叶いました。
四人姉妹でありながら、飾る場所も片付ける場所もない、(そして、多分高額であるから。)という理由で、我が家にはお雛様がありませんでした。欲しくて友達の家にあるのがうらやましくて、でも買ってはもらえませんでしたので、卵の殻に顔を描いたり、折り紙や押し絵で作ったりしました。働いてからも、欲しいと思っていても、自分のために買うことはできなくて、吊るし雛や、動物雛などに替えていました。だから長女が生まれた際に、祖父母が買ってくれた三段飾りのお雛様が家に来たときは、自分の物ではないのですが、本当にうれしかったです。
自分にはお金は使えなくても、子どもや、孫の幸せのためなら、と思って買い求める、そんなものの一つがお雛様なのだと思います。だから、私自身は、きっと自分のお雛様は持つことはない、と思っていましたけれど、清水園で本当に素敵なお雛様を飾ることができました。
お雛様の前に座ると、古式ゆかしき古の世界が部屋を覆っていくような気がします。
書院の広間も、夜になると、もしかしたら、趣のある宴が開かれているかもしれません。
自分のものではないけれど、大勢の方々に愛おしんでいただきたいお雛様です。

憧れは いつも届かぬ位置にある 雛人形も失ひし恋も

清水園/ ひろ
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by hoppo_bunka | 2020-03-01 11:40 | 清水園 | Comments(2)

Commented by 初子 at 2020-03-06 07:50 x
日記のアップがつづいていて、嬉しいです。
いつも楽しく読ませていただいています。
お庭のようすもわかったりして、
画像を拝見してはお散歩する気分にひたっています。
(#^.^#)

モノトーンが支配する季節。
お雛様はとても、華やぎますね。
(*^^)v
初めてお目にかかったのは、たしか2015年の3月。
お引越しが決まり、ずっと親しんできたお庭とのお別れが決まった頃のことでした。
たしか・・・あのころは、もうひとつ奥のお部屋で、ひっそりと輝いていたのを憶えています。

寒くても ぬくもり覚える ここの庭
  雛の微笑み 華やぎ添えて
Commented by hoppo_bunka at 2020-03-07 09:50
> 初子 様
お便りをいただきありがとうございます。
お客様が減ってきている中、こころ寄せてくださるお客様の存在は、本当にありがたく嬉しく思います。お雛様にも伝えて参ります。
今日は風もなく、春の日差しが降り注いでいます。公立高校の入試も昨日終わり、中学3年生はきっと今、つかの間の開放感に浸っているのでしょうけれど、人の姿はまばらです。こんな時こそみんなでお互いをおもいやって、生きている喜びを感じることができるようにしていけたらと願っています。初子様のお便りは、本当に温かく励まされました。ありがとうございました。
ひとときのお目見えなれど待ちわびし
  主を迎え書院華やぐ
                           清水園/ ひろ

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