小中学校の休校が決まり、様々な催しが中止される中、中学校の卒業式に列席しました。在校生も来賓もいない中、時間も最短に縮小して行う卒業式。学校生活の集大成としては、卒業生はさぞ、残念だったであろうと思っていましたが、感動あふれる忘れがたい卒業式となりました。
会場準備、設営はすべて職員のみ。少人数でそれをやるのは、どれだけ大変であっただろうと思いましたが、とにかく、「最高の卒業式を子どもたちに贈るのだ。」と心をひとつに頑張ったと伺いました。
式に参列しながら、教育という現場は、まぎれもなく、どんな状況下であっても、今、この瞬間に生きることに全力を尽くすこと、そして感動を創りだすことの素晴らしさを子どもたちに教えているのだ、ということを実感しました。この卒業生たちは、小学校入学の時は地震があり大変な時期に出くわしてしまう学年なのだと伺いましたが、彼らの幸せを願う職員や保護者の方々が作った花道の中を最後に退場していきました。
ピンチはチャンス。前例のないこと、明らかに不運と思われることでも、人は自分の気持ち次第でそれを乗り越えていく力がある、そして前に進もうとする思いを伝える中で、支えあう輪が生まれ、広がり、状況を切り抜けていけるのだと思いました。
新型肺炎の影響が前例にない勢いで教育や観光、経済、スポーツ、文化と社会に大きな打撃を与えています。清水園も影響を受けました。でも、考えてみれば、私たちは毎日、前例のない日を、未来を迎えて生きています。前に進む勇気を与えてくれるのは、今日を確かに生き抜いたという実感と、それを支えてくれた温かな人の思いです。鬱屈した不安が漂う時だからこそ、心に安らぎを与えるものを暮らしから絶やしてはならないと思います。一輪の花。掃き清められた玄関。家族や周りの方への小さな声掛けなど。
感動の背景には必ず人のたゆみない努力と思いがあります。遠方から思いをお寄せくださる皆さま、何百年も生き続けたお庭は今日も美しく生きる力を与えてくれています。お気持ちにこたえられますように、お庭を大切にお守りし、またお越しになれる日をお待ちしております。
365日、卒業式と同じ思いで皆さまをお迎えしたいと思います。
清水園/ ひろ