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忘れられない日の中に

今日は麗らかな春の日差しが差し込み、入口の橋の下を流れる新発田川の水も光がきらきらと反射してきれいです。魚捕りの網を持ったお子さんが二人、おじいちゃんに連れられてうれしそうに川を覗き込みながら走って行きました。昨日は体操着を着た中学生が足軽長屋の前を何回かジョギングで往復していました。休校となって時間の使い方や家での生活を自己管理することになり、不自由で残念な思いもたくさんあるのでしょうけれど、きっとそれぞれ工夫をして過ごしているのでしょう。
 清水園にもお子様を連れていらっしゃるお客様が増えてきました。この機会に庭の美しさに興味をもたれる博士ちゃんが生まれると嬉しいです。来るたびに違う魅力に出会えるのがお庭を鑑賞する醍醐味ですから、大人になってまたぜひいらしていただきたいです。
 中学生の男子生徒が4名、にこにこ話をしながら長屋を見て通って行かれました。今日は県立高校入試の合格発表日です。合格したのでしょうか。今日お祝いできるとよいのですが。
 9年前の合格発表の日に東日本大震災は起きました。同僚から「大変なことが起きている。テレビをつけて見ろ!」と電話があり流されていく家々を見た時のあの衝撃は今でも忘れられません。あの時、多分大勢の人たちが、今生きていることの尊さや家族で一緒に暮らせる幸せ、慣れ親しんだ土地や風景の中で生きることのありがたさ、というような今まで当然と思っていたことのありがたさをかみしめたと思います。人生や価値観が大きく変えられたあの日。
 1か月経った4月中旬、新潟県が主催する最初のボランティアバスで石巻に行った日のことを、今でもはっきり覚えています。
 泥出しで伺ったお宅の庭には30台の車が、あちこちにひっくり返って埋まっていました。スコップで泥をすくっていくと、文字のようなものがうっすらと見え、それが教科書の一部だと分かった時は愕然としました。「泥」と見えていたものが、誰かの大切な暮らしの一部だったからです。せめてここだけでもきれいにしようと、1日中泥をあげて、みんなで頑張った庭の片隅を見て、そこのお宅の方が「ああ、土が見える。」と喜びの声をあげられました。「土が見えること」を幸せと受け止めていなかった自分に気づきました。
 決して忘れられない日は、決して忘れてはならない価値を思い起こさせる日でもあります。今のこの社会状況は、誰もが決して忘れられない厳しいものではあるでしょうけれど、そんな中でも決して忘れられない価値を見出して生きていきたいと思いました。

清水園/ ひろ

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by hoppo_bunka | 2020-03-13 17:12 | 清水園 | Comments(0)

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