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バリアアリー

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 バリアアリーという考え方を御存知ですか?
 バリアフリーの価値は、誰もが快適に過ごすためには、なくてはならないものです。それを十分承知したうえで、便利すぎると逆に失われたり後退する機能もあり、敢えてバリアアリーを取り入れたり残したりする、という考え方です。

 先日健康教室で簡単なリズム体操を教わりました。左右の手の動きを交互に入れ替えて行うという体操が、私はすぐにあれ?どうだったけ?とつっかえたり、同じ動きをしてしまったりと、呑み込めず全くできなかったのですが、それが認知症予防に効果的なのだと教えられました。
 脳を活性化させるには、「あれ?ちょっと待てよ?」と引っ掛かることや立ち止まることが大切で、そこで脳が鍛えられるのだそうです。
高機能や効率化が人間にとって、必ずしも良いことばかりをもたらすものではない。考えてみれば、身体能力が低下していても、快適に過ごし続けていたら、体はますます鈍くなって衰えていってしまうでしょう。最近では「不便益」という考え方も知られるようになってきました。

 妨害による支援システムとして、誤字を訂正しない限り文書保存できないワープロや、わざとミスタッチの音を出すことによって、本番に間違っても弾き続ける度胸をつけるリハーサル用の電子ピアノ、自分用に料理を取ろうとすると、自分の皿の蓋が閉じてしまって使えなくなるトングなど。
 その効用も知力、度胸、コミュニケーション力等、素晴らしいのですが、それに加えて、何かミスすることがそれほど悪く悲しいことに思えなくなってくることが、失敗することが多い私にはとっても嬉しくなる考え方でした。

 子どもの頃から不器用で、動きも鈍く、何をするにも時間がかかり、できない、できないの人生でしたが、辿り着くまでにかかる時間や思いや労力の分だけ、得た時に感じる喜びや心の充足は深く、すぐできる人が感じないようなことにも嬉しさを味わう機会が多いのは、幸せなことなのかもしれないと思いました。

 先日安田瓦の工房見学に行き、作業工程や歴史を学んできました。屋根瓦だけでなく、食器やアート作品など、新たな商品開発と街づくりに取り組んでいることをお聞きして、この文化を継承していこうとする方がたの思いを、見学する先々で感じました。
その際に、「旧斎藤家別邸で、雛人形と瓦の競演という企画で、お雛様の台座に瓦を使って展示しています。」と教わり、帰ってから見に出かけました。斎藤家別邸ではさまざまなお部屋に、いろいろな形の雛人形が飾られていましたが、安田瓦の上に乗せられたお雛様は、部屋の中にいながら空の近くにいるように、自由な空間を得ていられるような感じがしました。

 家に帰って、改めて安田瓦の三角盃でお酒をいただきました。初めての時よりはずいぶん上手に飲めるようになりました。作り手の思いと、江戸時代からの歴史と、現代への生き残りをかけた産地の工夫と挑戦と、それらを辿りながら味わうお酒は、うまくいかないこともたくさんある自分の人生と重なって、さっと飲むのではなく、お酒を飲む時間もじっくり味わおうという気持ちになりました。
そして「博物館」という所は、文化や伝統を継承し広めていこうとする人たちの思いを集約し、届ける所なのだと思いました。

 先日、「世界一飲みにくい」というネーミングに惹かれ修学旅行のお土産に欲しいと学生さんがお買い上げになりました。
やりにくいことや、変わっているものを避けるのではなく、やってみようと思ったり、面白がったりすることは、いつの時代でも新しい時代や世の中を創る原動力になります。
 不便を楽しむという柔軟な発想ができたらいいな、周り道だったりつっかえたり失敗して思うようにいかなくても、こんな経験するとは思わなかったという出会いが起こるかもしれないと思いながら、一歩ずつ進んで行きたいなと、その若い方を見て思いました。

 以前はお客様に笑われ、「こんなの売れないよ。」と嘆いていた三角盃ですが、今は、「推し燃ゆ」、の思い入れです。

清水園/ひろ


by hoppo_bunka | 2021-03-19 15:38 | 清水園 | Comments(0)

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