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未来の値段

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 清水園の入り口まで来られても、入園料をご覧になって、くるりと帰られる方がいらっしゃいます。せっかくここまでいらしたのに、高いと思われてやめられたのかなと、とっても残念に思います。
 かく言う私も、安い物、値引きが大好きです。
同じ商品であれば、少しでも安く、を目指して探します。そうして少しでもお金を蓄えて、子どもたちや何かの折に使うものへと回していこうと思っていました。これぞ主婦の力の見せ所と言わんばかりに。
「高い」と思ったらパス。スーパーの食品を見れば、値段がほとんど選ぶ基準になっていました。最近多く見るようになったイチゴであれば、手ごろな物の中では越後姫は他の物より値段が高いので、他県産の安い方を買う、といった感じでした。
 でも、先日越後姫の生産者さんのお話をお聞きし、県内で頑張っていらっしゃる他の農業経営者の方のお話なども読むうちに、少しずつですが考えが変わり、多少高くても、できるだけ地元のものを買おうという気持ちになりました。全てというわけではありませんが、出来る範囲で地元の産業に貢献し、生産者の方々を守っていきたいと思っています。
 それ以来、値段を見る時は、値段に未来の孫やそのまた子どもたちの分の値段もプラスして考えるようになりました。

 本当の意味で、子どもたち(何世代も先の未来の)に使うものとして、お金を考えて払わなければならないと思ったからです。
 今の自分たちの生活に得があるようにすることで、彼らが生きる未来の世界で、地場産のものがことごとく姿を消し、輸入品に頼らざるを得なかったり、自国の農業や水産業に夢を持つ生産者がいなくなったりするような、悲しい未来にさせてはならないと思い始めました。

 先日、築102年の母校の床材と腰板を譲り受け、その木材を店内に使用したギャラリー兼カフェに、リメイクのつるし飾りを見に出かけました。食事をしながら、そうそう、こういう腰板が自分の小学校の校舎にもあったよなぁと、とっても懐かしく、見ていて癒されました。
木の温もりって、いいなぁ、洋風のおしゃれなカフェも素敵だけれど、この雰囲気が良いなぁと思った時に、清水園の総門を思い出しました。毎日、何気なく見ていた門ですが、年月を経て今ここにある価値が、急にはっきりと伝わってきました。

 「庭だけ?ほかに何があるの?」と時々お客様に聞かれることがあります。「庭巡りで何があるの?」とも。
そう、庭だけです。でもこの空間をお金で買うことはできないし、すぐに創り出すこともできない。
 静謐で清浄な空間も、カモが静かに水面を移動するのどかさも、葉の間からこぼれ落ちてくる春のきらきらした日差しも、足裏にしっとりと伝わってくる土の感触も、ふくらみ始めた枝先の芽の愛らしい紅色も。失われたら最後、私たちが作れるものはひとつもありません。

 もう一人では外出できなくなった義母を久しぶりにデパートに連れて行った時、「何も買うつもりはないけれど、全部の階を見て回りたい。」と7階から地下まで全部見て回りました。買い物といえば、目的地に直行、買ったらすぐに帰る私にとっては、その緩やかな時間は、とっても疲れる気がしたのですが、「そうか、義母はこのデパートの雰囲気を味わいたくて、何も買わなくてもこの中にいるだけで楽しいのだ。」と思ったら、自分もそうやって時間を気にせずに楽しむことに気持ちを切り替えようと思いました。普段と違う華やかな雰囲気や美しいものをたくさん見ることが、ずっと家に居続けている義母にとっては、楽しいことだったのだと気づきました。そこにある雰囲気が人を元気づけることがあるのだと思った時、清水園のお庭が浮かんできました。
 
 経済、お金に価値観がシフトチェンジしている世の中で、まずお金、と考える時に、未来の人たちを思い浮かべたいと思います。

清水園/ひろ
 



 


by hoppo_bunka | 2021-04-06 15:08 | 清水園 | Comments(0)

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