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時は春 日は朝(あした)

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 今朝は昨日よりもずっと暖かく、お庭を歩くにも上着はいりません。お池の周りに歩を進めると、鳥の鳴き声が木々の先々から聞こえ、羽ばたきが聞こえます。麗らかな陽射しあふれるお庭です。
 感染拡大による時短要請のニュースが流れる中、ここは別世界。ロバート・ブラウニングの『春の朝』を思い起こさせる景色が広がっています。

 『春の朝(あした)』  ロバート・ブラウニング

  時は春、

  日は朝(あした)、
  朝は七時(ななとき)、
  片岡に露みちて、
  揚雲雀(あげひばり)なのりいで、
  蝸牛(かたつむり)枝に這ひ、
  神、そらに知ろしめす。

  すべて世は事も無し。


 今、大変苦しい状況にいらっしゃる方にとって、「すべて世は事も無し」などと聞かれたら、「とんでもない。何のんきな事を言っているんだ。」とお叱りを受けそうです。でも、体が正直にこの詩を思い起こさせたので、お伝えしたくなりました。

 今朝は車を運転しながら、毎日楽しんでいたバイパス沿いに咲く桜が散り始め、だんだん葉桜になっていくのを見て、物寂しさを覚えたのですが、お庭を歩いているうちに、その気持ちがすーと癒されていくように感じました。


 満開の桜を見ても、ちっとも美しいと思えない時もありました。がんセンターに入院した父を見舞う時、辺り一面見事に桜が満開だったのですが、もう助からないと分かった父のことを思うと、哀しくて切なくて、ただただひんやりと、時間が止まったかのように薄ピンクの塊を見て涙したことを思い出します。


 今、辛い思いをなさっている方にとっては、春の朝の世界は、まだ現れないかもしれません。私も今でも時々、「わぁ、綺麗。」と思う桜の中に、30年前の切なさが蘇ってきたりすることがありますから。それでも心穏やかにお庭を見る事ができる日も、毎日を紡ぎ重ねながら、いつの間にか得ることができるようになりました。


 父の見られなかった春の朝です。生きているものは、享受できるものがたくさんある。その恩恵を忘れてはならないと思います。

 昨日うどを食べました。ほのかに甘く、やわらかく、春の大地の香と味がしました。

  山菜、旬の物が大好きな父でした。 山笑う。   二王子岳の山肌も見えてきました。


清水園/ひろ

 


 


by hoppo_bunka | 2021-04-16 17:16 | 清水園 | Comments(0)

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