人気ブログランキング | 話題のタグを見る

時を超える

時を超える_e0135219_15055612.jpg
 前職に就いていた頃は、仕事が終わって家に帰っても、何かしら家でも仕事をしていました。仕事の事が頭から離れないというか、明日はこうしよう、と考えることが多く、完全に仕事を忘れて過ごす日というのは、数少なかったと思います。ですから最近夕食後に、何をしようかな、と思った時、趣味や家事のみで仕事に関することが浮かんでこないと気づいたら、自覚はしていなかったけれど、以前はやはり仕事に追われていたのだと思いました。今は余暇の時間を好きなことに使うことができます。もっとも、本を読みながら寝てしまう、ということがほとんどの毎日なのですが。

 先日書院の軒先に腰を下ろし、お一人で静かにお庭を眺め続けていらっしゃるお客様がいらっしゃいました。初夏の昼下がり。時折吹く風に枝葉はそよぎ、静かなゆったりとした時が辺りを包み込みます。ずっとそこに座って前を見つめていらっしゃいました。目まぐるしく移り行く時を超えて、今、ここに、とどまっていらっしゃるかのように見えました。

 責任をもってやらなければならないこと。実績を上げなければならないこと。仕事をするからには、不随してくる心を占める様々なものは、生きがいは勿論与えてはくれますが、時々心の底に堆積して、心を沈めてしまうこともあります。
そんな沈んだ気持ちをふっと軽やかに解き放ってくれる、苦しさを一瞬超えてフラットな無の状態にしてくれる、そんな働きがお庭にはあるようです。

 ほんの一瞬でも苦しさを超えたと感じる瞬間を得れば、私たちは、また歩き出すことができる。
ほの暗い廊下を通って明るい縁側に出て腰を下ろし園を一望すると、時は止まります。

 時を超えた今をゆっくりとお楽しみ下さいませ。

清水園/ひろ

写真提供 M様 
 



by hoppo_bunka | 2021-05-11 17:02 | 清水園 | Comments(0)

<< 大藤の様子 2021.5.12 大藤の様子 2021.5.10 >>