連日うだるような暑さの中、オリンピックが開催されています。こんなに暑い中、全力で競技をする選手は本当にすごい!!と、心から尊敬します。特定のスポーツのファンでもない私は、テレビ放映のおかげで、知らなかった競技に対する興味も出てきました。毎日何かしら感動する場面があり、心に灯をともされじーんとします。一生懸命頑張っている人を見ていると、頑張らなきゃいけないな、もう一度やってみようかな、と真剣に生きようという気にさせられます。
新聞にスポーツ関連の記事が多く載っている中、新潟日報に連載されている漫画『ペコロスの陽だまりの時間』の中の言葉に心が動かされました。
「介護は親が命がけでしてくれる最後の子育て」という言葉です。
出典は、信友 直子さんの『ぼけますから、よろしくお願いします。』 新潮社と併記されていたので、急いで取り寄せ読みました。ここ最近義母の様子が気になっていて、数日前に私が持っていくために作っていたお弁当を食べてしまうなんてこともありました。覚悟はしていましたが、急に症状が進んだようで、暗い気持ちになりかけていました。
認知症になったお母さんとそれを介護するお父さんの姿を描いたこの本は、ああ、これもあるある、そういうことだったのか、と思い当たることがたくさんあり、親の変化に戸惑っている人たちにぜひ紹介したいと思える本でした。その話を長男にしたら、こんな本もあるよ、と『老人の取扱説明書』平松 類著 SB新書を教えてくれました。この本も、私が思っていたことは、間違った捉え方をしていたのだと思わせられる気づきがたくさんありました。
おばあちゃんが、「今日は何日?今何時?」と何回も繰り返すことを、何度も何度もきりがいない、うるさいなぁと捉えるか、今、何時なのか、どこにいてどうすればいいのか何もわからず、不安で怖くなり混乱しているのだ、と思うかとでは全く違います。
おばあちゃんは、わからないこと、できないことがどんどん増えていく毎日の中で、自分が変わっていく悲しみと不安を抱えながら、それでも頑張って一生懸命生きているんだ、と思ったら、「介護は親が命懸けでしてくれる最後の子育て」という意味がストンと胸の中に入ってきました。
オリンピックの競技を見ていると、力を抜く、というのは、力をつけるより難しいことがよくわかります。人生もきっと同じ。
一生懸命生きている人に、私も一生懸命向き合って生きていきたいと、思いました。これからもっともっと大変なことがきっといろいろ起こって来るのでしょうけれど、様々な事ができていた昔の面影にしがみつくのではなく、私自身が生まれ変わっていきたいと思いました。おばあちゃんはオリンピック選手と同じ、背負っているものに押し潰されそうになりながらも、懸命に頑張っているのだから、私も自分を変えて、そこから学び、成長していきたいと思いました。
作事さんを含めて、この炎天下の中、外で仕事をされている方がたを見ても、同じく身の引き締まる思いがします。
生物は、毎日が生きる事への真っ向勝負。今、園内はにぎやかな蝉の声に包まれていますが、明日の朝にはそのうちの数匹は地面に転がって息絶える短い命です。
8月は戦災の死没者への追悼慰霊祭もあり、命に対する思いを深める月です。身近にある一生懸命生きている命の尊さに目を向けて、それに対峙できる生き方をしたいと思っています。
清水園/ひろ