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光と影

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 初雪が降りました。天からひらひらと落ちて来るその様子を見て、最初に感じるのは、喜びです。「雪だ!雪が降って来たよ!」と周りに声をかけ合って様子を眺めます。その後すぐに、寒い、歩きにくい、渋滞する、雪除けをしなければ、など厄介なことばかり思い浮かんで来て、気が重くなります。でも、雪に覆われる世界は美しくて、やはり雪は天からの贈り物なのだと思えてきます。
 もっとも昨年は大雪で交通機関も麻痺して本当に苦労しましたが。
 
 防寒具を着込み、ブーツを履き、1年ぶりに雪除けをしました。湿った雪は重くて運ぶのに息切れがしてきます。職場でも自宅でも、これから毎日時間を見つけては雪除けをする日々が続きます。毎年の事ですが、年々体力が衰えて、一気に作業ができなくなりました。一息ついてはよいしょと動き出す、その繰り返しです。大学の頃、都会のお年寄りと新潟のお年寄りは、同じ年でも新潟の方がはるかに年老いて見えるのは、きっとこの風雪の中の作業の苦労のせいだと思っていました。友達には、「新潟の人は肌がしっとりしていて羨ましい。雪のせいだね。」と言われていましたが。
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 幼稚園の頃、雪が降ると父に無理やりスキーに連れていかれました。寒がりで、すぐしもやけができる私は、転ぶ度に手袋もズボンも靴下も濡れてびしょびしょになり、冷たくて手足がかじかんで、スキーに行くのは大嫌いでした。お昼に山小屋に入ってストーブに暖まる事だけを待ち望んで、泣きそうになって姉の後をついていました。大嫌いだったスキーは、何年も繰り返される後に、吹雪であろうと、ギャップだらけの斜面であろうと、滑られるようになりました。大学時代はスキー合宿をしたり、社会人になってからは、クロスカントリーやポール、バッジテストまで経験しました。スキーは得意なスポーツの一つになりました。
 清水園に向かう通勤途中に二王子岳の二ノックススキー場が見えてきます。今のこの足では、とっても滑れないと思いながら、Xの形をしたゲレンデを見ると、リフトに乗って見下ろす雪原や、流れている音楽のように滑り降りて来るスキーヤーやボーダーを想像して、いいなぁと思います。太陽の光を反射してキラキラと輝く一面の銀世界は、若く元気だった自分の青春そのものです。
  
 雪が止み、お庭の木々も水面も輝き出しました。
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 書院にも光が差し込みました。
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 光ある所に影もある。この美しさは、暖かな部屋にいて眺めていても、きっと感じ取ることはできないでしょう。身を切るような寒さの中にいるからこそ、一瞬の晴れ間を全身で受け止め、喜び味わうことができる。

 静謐な園内をめぐると、ふとした瞬間に、さまざまな思い出が湧き起ってきて皆さまを別世界にご案内します。皆さまは、どなたに、あるいはいつの頃のご自分に遇われるでしょうか。

 雪が雨に変わり、辺りがうす暗くなってきました。人恋しさも誘うお庭です。

写真提供 M様

清水園/ひろ





by hoppo_bunka | 2021-12-20 16:44 | 清水園 | Comments(0)

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