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抱えて生きていく

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 春の日差しが降り注いでいます。
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 書院にも明日からの「しばた ひなびらき」に備えて六組のお雛様が展示されました。
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 たくさんのお雛様をお迎えして、お庭も明るく春の息吹に満ち溢れています。
美しいお雛様やお庭を眺めていると、心も明るく晴れわたっていきます。今日はこの春の日差しとお雛様に励まされました。

 2日前に三回目のワクチン接種を行いました。覚悟はしていましたが、やはり体の節々が痛み、発熱し、腕も痛くて思う様に動かすことができませんでした。痛み止めを飲んで何とかしのぎました。体を思うように動かせないもどかしさ。髪を結ぶことも着物を着ることもできません。早く良くなりますように、と横たわりながら祈りました。
 ようやく治りかけて思ったのは、このような痛みや不自由さを毎日抱えて生きているお年寄りの偉大さです。誰もがそうなると言われるかもしれないけれど、やはり、すごいことだ、自分は耐えていけるだろうか、と思ってしまいました。

 以前父が膝を痛めたおばあちゃんに注射を打つのを見たことがあります。「痛いかね。」と問いかける父に、そのおばあちゃんは、「痛いことしなさるのぉ。」と静かに答えていました。これくらいの年になると、何もかも受け入れていくしかないんだなぁと、その時思いました。年を取るのは、とっても怖いことに感じました。でも今は、尊敬の気持ちに変わっています。

 痛いことも、うまく動けないもどかしさも、みんな受け入れて生きていくことは、ガタガタの砂利道を走っていく車のタイヤと似ています。障害をバンバン跳ね飛ばし押しのけて進むのではなく、抱え込んで進んで行く。こちらの方が、パンクをせずに、ずっと遠くまで長く走り続けることができます。人生も同じだなぁと思います。

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 清水園のお庭の入り口にある横倒しになりそうなこの木も、樹医さんから、「大丈夫。しっかり生きている。」と言われました。支えてもらい倒れそうに見えながらも、強風や大雪に耐え、今年もまた春を迎えます。
 命ある生き続けるものは、みんな貴い。そう思いました。枝が無かろうと、若木のように瑞々しさが無かろうと。

 困難を受け入れて、失ったものではなく、在るものに目を向けて生きていく。
「ああいう風にはなりたくない」と思っていた姿は、学ぶべき姿でした。

清水園/ひろ
 

by hoppo_bunka | 2022-02-26 16:47 | 清水園 | Comments(0)

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