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いつからでも

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 新潟分館にお雛様を見に行きました。本館の享保雛と比べると、とても小さなお雛様ですが、お部屋の雰囲気にしっくり馴染み、良い物は何年経っても良いと実感させられるお雛様です。そこに込められている職人さんの真心が伝わってくるのだと思います。
 仕事というのは、何年か後であっても、携わった人となりが現れるものだと思います。すぐに良さが現れるものと、時間を経て現れるものとの違いはあるけれど。
 真心のこもったものは、受け取る人にちゃんと伝わっていく。大切にしていきたいと思いました。それと同時に、自分も心のこもった仕事をしていきたいと思いました。

 二階には、歌碑についての会津八一と田中泰阿弥のやりとりも展示されていました。八一の「文字行間のあきは絶対に原稿の通りにすること」という朱書きを見て、作品の中の文字、行間、余白などをもっと気を付けて見なければいけないのだと気づかされました。
 そうした目で清水園のお庭にある田中泰阿弥の歌碑を見に行きました。観点を与えられて見るのと、何も考えずに見るのとでは、見方が変わってくることを実感しました。もっと、もっと、多くのことを学びたい、書も、石も、木も、お茶も、建物も、そして歴史も。

 人がお金を払って見に来て下さる価値のあるものに囲まれて働いているこの幸せに対して、今の自分はあまりに知識が乏し過ぎます。勉強しなくてはいけないな、もったいなさすぎる、こんなにたくさんの価値あるものに接する機会に恵まれているのだから、と思いました。ぐんぐん吸収できる年齢からは遠のいてしまったけれど、少しずつ学んでお客様に素晴らしさをお伝えできるようになりたいと思います。

 私が趣味で入っているサークルで出会う年輩の方には、こんな風に生きていきたいと思わせられる意欲的な生き方をなさっている方が、たくさんいらっしゃいます。まさに人生のエキスパートです。見ていると、やりたいと思ったら、もう遅いなんてことはないんだって勇気づけられます。
 毎日見ているNHKの朝ドラの影響で、中学1年生の時に挫折した中学生の基礎英語を毎朝聞くようになりました。学歴を返上しなければならないと感じるくらい、今の私には難しい単語ばかりで、これは本当に中学生の基礎なのかと疑ってしまうのですが、幸せなことに挫折せず30分聞くことが続いています。
 どうして、あの頃、英語を真剣に学ぼうと思わなかったのか、と思ったけれど、その頃はその頃で他の事で精一杯だったはずです。
 書道もまた習いたいなぁ、お茶も、ピアノも、、、。でも、まずは石と木から始めたい。

 これから人生をしまっていく方に向かっていくのに、清水園にいると、心惹きつけるものが、どんどん世界を拡げていきます。建物もお庭も静かにそこに在るだけなのに、触れてしまったら、中を覗かずにはいられない秘密の扉があって、不意に開くと全く違った世界が見えてくる。
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 ここにも扉がひとつ。先に来て寛いでいらっしゃるお客様がいらしたので、回り道をしました。宝物いっぱいのお庭は、生き物と人の手によって作られたものの美しさで満ち溢れています。

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 地震の翌朝、「案ずるな、ここは大丈夫」とお声がけをいただきました。
皆さまにお伝えしたいことが、今日も起こるお庭です。

清水園/ひろ
 

 


by hoppo_bunka | 2022-03-17 17:09 | 清水園 | Comments(0)

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