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つないでいく 次の世代へ

 六代目伊藤文吉がデザインした「文つなぎ紋」
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 一続きの「文」の文字のデザインには、自分の名前に対する誇りと、祖先を敬い子孫の繁栄を願う気持ちが込められています。
それと同時に、伝統の重みの中に、新たに価値あるものを生み出していこうとする気概も感じられます。
 日本の伝統文化を後世に繋ぐ目的で運営している北方文化博物館の理念が、ここにも表れています。
その思いは、今では藍染マスクに受け継がれました。北方文化博物館と清水園で限定販売されています。
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 お盆、そして終戦の日を迎えました。自分につながる多くの方々に思いを馳せる日です。懸命に生きて命を繋いでくださったことへの感謝と、砲弾に怯えることなく、飢餓に苦しむことなく暮らしていける幸せをかみしめたいと思います。
 終戦の日に関してということで、神田館長の戦争体験のお話がラジオ放送されました。B29が横越村の畑に墜落したこと、村の人たちが墜落死した敵兵を弔ったこと、敵兵にノコギリを持って向かって行った女の人がいたこと、ずっと後になってから、捕虜になった方のお嬢さんが横越村を訪れてきたこと、当時の暮らしの様子など、決してこんなことは経験したくはない、と思いながらも、館長が冊子にまとめられたように、後世にどうしても伝えて行かなければならないことなのだと感じました。

 大切な人と一緒に生きていられる幸せな時間は、永遠ではない。だからどんなに世の中が悲惨な状況であっても、生きている間に、少しでも自分の後に生きていくものたちが、幸せに生きていくことができるように願い、力を尽くす。今より少しでも、世の中が良くなるように。苦しい時代であっても、ずっと私たちはそのような先に生きてきた方の恩を送られてきました。そのありがたさがわかるから、次の世代に、その恩を同じように受け渡そうと努めるのだと思います。
 
 そうした心のつながりは、肉親や知人だけでなく、もっと広いつながりにまでも思いを馳せることができるようになると、世の中はもっともっと良くなっていくと思います。

 先日、病気や障害があっても参加できる旅の企画をする旅行社がテレビで放映されていました。下半身麻痺の方が海水浴を楽しむというもので、車椅子が入れない浜辺の移動手段や海に入る手段を、多くの人がアイディアを出し、援助しあって、その方の夢の実現に努めていました。自分ひとりでは限界とあきらめてしまうことも、多くの人がつながって可能性を探っていくと、限界がなくなり夢が叶うというものでした。海に入れたその方はもちろんのこと、関わった人たちみんなが深い喜びに満たされた旅行でした。夢が叶ったその方は、これからもっと、あれもしたい、これもしたいと、どんどんやりたい事や気力が湧いてきたと、本当に嬉しそうでした。見ていた私まで、幸せになりました。
 つながることによって生まれた幸せは、関わった一人一人に伝わって、そこからさらに網目の様に広がっていきます。みんなが人の幸せを自分のことのように嬉しく感じて生きていったら、世の中はどんどん良くなっていくと思うのです。

 伊藤家には、「悪田を買い集め、美田にして小作に返すべし」という家訓がありました。命の尊さを考える今日、どうしても伝えたいことを、言葉で、行動で、私も示していきたいと思います。 

清水園/ひろ

 
 







































by hoppo_bunka | 2022-08-15 16:21 | 清水園 | Comments(0)

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