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特別な場所

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 お茶室が公開されていたので、桐庵を見に走りました。
普段は外側をさっと通り過ぎる桐庵ですが、開け放たれていると佇まいがまるで違ってきます。特別な空間が広がっていて、そこにいるだけで十分だと感じます。お軸やお花、お茶が無くても。
 外界から遮断された、ほとんど無の中に身を置く場所なのですから、物はなくても構わないのかもしれません。心を静かに浸らせる空間さえあれば。
 ここは大切に自分をもてなしてくれる場所。心を込めて準備をし、慮ってくれる場所。そう想像するだけで、幸せになれます。大切に扱われることは、誰もが願うことで、たとえそれがわずかな時間であっても、ずっと心を温め続けてくれるものだと思います。

 8月28日に、水害で被災した関川村のボランティアに行って来ました。それより前に行ったきた夫に、「泥出しだけは腰がやられるから、俺でもきつかった、違うことをしてこいよ。」と言われ、泥掃除という作業を他の方と一緒にしてきました。
 中越沖地震の時も、阿賀野川や五十嵐川の水害の時も、東日本大震災の時も、泥まみれになった場所の片付けや掃除をしましたが、どこも同じです。拭いても拭いても、洗っても洗っても、しばらくすると泥がにじみ出てきて、きれいになったと思っても、また拭かなくてはならない、の繰り返しです。そして家の側には使えなくなった家財道具と泥を入れた袋の山。
 ゴミに化した物は、大切にしていた思い出の物であったり、愛着のあったものであったり、お家の方の無念さ、悲しみを思うと心が痛みました。
 自分の力ではどうにもならないものに、人生を翻弄されることもあるのだな、と災害が起きた時にいつも思います。
そんな時、全ての苦しみを覆うことはできないとしても、自分は大切に扱われている、と感じることができることは、絶対必要なことだと思います。
 私は非力で、他の屈強な若い方がたと比べると、できることなんてほとんどないに近いけれど、それでも何かやれることがあって、自分のものを大切にされていると感じてくださることができるように、作業をしたいと思いました。明日は県のバスで村上市に行ってきます。
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 この空間、この場所が自分を大切に迎えてくれる。そういう場所が人には、生物にはきっと絶対に必要で、それは年に数回しか訪れることのない所でも構わない。高い山の頂でも海が開けた道の上でも。そしてこの清水園の中でも。

 お茶室からいただいた幸せな気持ちを、少しでも他の方々にお届けできるように、自分にできる精一杯のことをしてきたいと思います。

清水園/ひろ
 
 



by hoppo_bunka | 2022-09-03 17:12 | 清水園 | Comments(0)

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