未曽有の災害を引き起こした、阪神淡路大震災から28年が経ちました。今朝はちらちらと雪が降り、次第に辺りが白く埋められていきます。鎮魂の思いを深めていくかのようです。
あの震災が起きた時、テレビの画面から被災地の様子を見て、関西は壊滅的だと思いました。それから28年。多くの方がたの汗と努力により、街は活気ある姿を取り戻し始めています。
道路や公共施設の整備に関わる方がたの仕事は過酷です。通勤途中に見かける土木作業員の方は、吹き曝しの冷たい雨、風、雪の中も、焼けつくような酷暑の中も、休むことなく仕事を続けていらっしゃいます。その姿を見るたびに、大変だと思うと共に、過酷で 汚れて、危険、というイメージをぬぐい切れないでいましたが、今年ある方の言葉に出会ってから考え方が変わりました。
「恵まれないひとたちに、少しでも暮らしやすい社会資本をつくりたい、そんな思いでぼくは土木を選びました。」
人生のリセットを考え始めた時に出会ったこの言葉は、仕事に対する誇りと、豊かな社会を創りあげるために尽くす決意に満ちていて、お前はどんな気持ちで働いて、何か世の中のために貢献していることはあるのかと、問いただされているように感じました。
自分にできることは、何だろう。今の自分にできる社会貢献って何だろう。復興の担い手になった方がたのように、何に誇りをもって働いているのだろう、と考えさせられました。
清水園には大いなる力があります。多くのお客様が来て下さるのは、ここで感じられるお気持ちが、それぞれの方にとって、価値あるものだからでしょう。ここに来てくださった方が、来て良かったと笑顔で帰られること、そのために自分ができることを考えることは、未来の世の中に生きる人たちの笑顔を作ろうと頑張って働いていらっしゃる、土木作業員の方がたと、規模は違うものの、同じものを目指しているのではないかと考えました。
家庭で、職場で、関わりあう人たちとの触れ合いの中で、その人たちが笑顔になれるような生き方ができたら、と思いました。
社会貢献という大きなことはできないかもしれないけれど、若い方の誇りある美しい生き方を知った今、ハッとして共鳴した胸の高鳴りを、失いたくないと思いました。
誇りある生き方に共鳴して力を合わせ合った人たちが28年の年月をかけて成し遂げた今の人たちの暮らしを想い、私も自分の暮らしに槌を打ち始めます。
清水園/ひろ