国際宇宙ステーションに滞在している宇宙飛行士の若田光一さんが、2度目の船外活動を無事終えたというニュースが3日に入ってきました。船外活動は6時間40分。地上からの指示に従いながら、慎重に作業を進められたということですが、死と隣り合わせの仕事を成し遂げる、その強靭な精神力に感服しました。
宇宙ステーションに戻った若田さんは、「日本の皆さん、ご支援いただきありがとうございました。国際協力をさらに進め、『和の心』をもってISSを最大限に活用して成果を創出していきましょう」と言われました。
この『和の心』は2014年にアジア初のISS船長に就任された時にも使われた言葉です。その時若田さんは、就任の挨拶で、「地球最大規模の国際プロジェクトで、大役を任されたのは、日本が築き上げてきた実績と、高い信頼の現れです。
日本らしい和の心を大切に、相手を思いやり、調和の中から、みんなと協力してやっていきたい。」とおっしゃいました。
宇宙飛行士として、船外活動を行うためには、どれだけ優れた能力や資質、人間性が必要なのか、私には想像もつきませんが、そんな優れた力をもつ方が、自分が船長という仕事に就いたのは、自分に至るまでの多くの方がたの努力や働き方の素晴らしさのおかげであると言及されていること、そして、人と協調していくことを重んじていらっしゃることに憧れを抱きました。
仕事をしている時に、初めて会う人に対しても、一緒に仕事をしている人に対しても、どうぞまたこの人と会えますように、という願いを持ちながら仕事をしているだろうか。
良い成果を出せた時に、自分の努力以外にも、自分を支える礎を作ってくれた名も知らぬ多くの人たちに思いを馳せたことがあっただろうか。と考えました。
凍った池の周りを巡りながら、この池が凍るまでの道程を考えていたら、人を宇宙までも導くまでに、どれだけ、名も知らぬ方がたの命を懸けた営みがあったのだろうと思いました。薄氷のように、すぐに溶けてしまうものから、頑丈な氷の塊に変わるまでのように。
後藤新平は、「財を残すは下。仕事を残すは中。人を残すは上。」と言っています。
この人の命を受けついで生きていきたい、と触れ合う人に思わせる生き方が、世の中を発展させてきました。
書院の前に立ち、凍った池を見つめながら、今日一日に出会う方がたに、感謝を伝えられる自分だろうか、と思いました。
どんな心を大切に皆さまは今日お過ごしになられましたか。
清水園/ひろ