先日テレビを見ていたら、人の声を再現できる技術が、かなりレベルの高いところまで進んでいることを知りました。
ちょうど、その数日前に、何だろう。何か機械的な話声がすると思ったら、発声装置を付けていらっしゃる方だったことがわかり、だからだったのか、と思ったばかりだったのですが、テレビで見たものは、装置を口に当てると、自分が望む第三者の声に変換されて出て来るというもので、聞いた声は、ほぼ、本人そのものの声を再現できていて驚きました。
技術革新の素晴らしさに驚き、この技術を待ち望んでいる方々のためにも、どうか悪用されることなく優れた技術を開発していただきたいと思いました。
より便利に、より快適に、そして失われたものを再現し、、、世界のどこかで、誰かが、必死に追求して発見したり創り上げたりしたものの恩恵を、私たちはあって当然のように受けている。人間ってすごいなぁと思うけれど、自分ひとりに焦点を当てて考えてみると、昔の人たちができていたことが、なかなかできていないことを思い知ります。衣食住全ての分野に亘って。
ものに頼らない分、五感をフルに使って、昔の人は自立して生きていました。身体も衰えていく一方だし今更遅いかもしれないけれど、テレビの「ぽつんと一軒家」で放映されるお年寄りのように、自分の生活を自分で作るようになりたいと思いました。
素晴らしい音声変換装置を見た次の日に、砂丘館で行われた「苔」のセミナーに参加してきました。そこでは苔が空気を清浄化することに着目して開発された、さまざまな商品とバイオフィリックデザインについての紹介がありました。植物が空気を清浄化してくれることは知っていましたが、それを住宅や職場、医療現場などに取り入れられようとしていること、しかも製品化が考えられていることは初めて知りました。
「バイオフィリックデザイン」とは、自然を取り入れた空間デザインのことで、空気を清浄化し、作業の効率を上げ、幸福度を増す、というものです。オフィスや店内に観葉植物を置く、というのは以前からありましたが、セミナーで紹介されたのは、苔のカーテンや寝具、マスク、苔のタイヤ(走る度に、二酸化炭素を取り込んで、酸素を排出するというもの)、苔の柱、壁、といった初めて見るものばかりでした。
技術の進化に驚くと同時に、自然のもつ偉大な力について、まだまだ人間はわかっていなかったり、かなわないのだと思いました。
苔のように、太古からあるもののもつ力を、人間はようやく今解明しようとしている。自然は遥かに大きく、我々人類が生きることを支えているのだと思いました。
清水園は苔の美しさでも有名なお庭です。自分でできることを増やしたい、生きる力を増やしたい、と思ったばかりだったので、苔についての本を買いました。関わろうとすることが、無力な私ができる第一歩です。
最高のバイオフィリックデザインの職場にいる者として、この幸運を人生にいかしたいと思います。
清水園/ひろ