ほんの小さな悲しみに、力を奪われてしまうことがあります。孤独を感じている時。自分を守るために、殻に閉じこもってしまいたくなり、ますます自分を負の方向に追い込みます。
生きていくのは、大変。そんな日もあるさ、と自分を勇気づけますが、負のスパイラルから抜け出すのは、なかなか難しい。
ところが、今回も、自分を救ってくれることが、ありました。というか、いつもマイナスの方向に陥りそうになる時、なぜかお釈迦様が、カンダタに垂らしてくださった蜘蛛の糸のように、救いの手が差し伸べられるのです。そして、前に進むことができます。
思えば、いつもそれは本当に偶然に訪れる幸せなことで、「禍福は糾える縄の如し」という言葉を思い出します。
今回は、夕佳亭の側の木に、シロサギがお客様として来ていました。
「白鳥は哀しからずや空の青海のあをにも染まずただよふ」 若山牧水
牧水の歌通りに、孤高で美しい、と思いました。そして事務所に戻って連絡事項に目を通したら、ある方から、清水園に2回目の寄付があったことを知りました。
その方のお人柄を思い出しながら、ああ、自分もこのように、美しい生き方をしたい、暗闇から人を救い出してくれるような、生きるべき方向を指し示してくれるような生き方をしたい、と心から願いました。
その方のことを考えたら、恥ずかしい生き方はできない、と思える方に出会えたことは、本当に幸せなことです。
志を高く、そして美しく、自分の中に、さまざまな感情がたとえなだれ込んだとしても、全部飲み込んで、ゆったりとおおらかな水面を保つ、清水園の大池のようでありたい、と願いました。
最初のシラサギのお客様からまもなく、雨の中、数名のご来園がありました。寒くてご来園が少なくなる時季ですが、ご厚志をお寄せになり、守って下さる方がいらっしゃる、この清水園に勤められることを幸せに思います。
人が与える力は本当に大きい。だからこそ、高い志に触れたら、身を正さなくては。
不幸せ、と思った時のちょっと先には幸せが潜んでいる。
N様、お元気でいらっしゃいますか。お寄せくださいましたご厚志は、文化財ばかりでなく、小さな私までも救ってくださいました。
温かいお気持ちに、滲む園内です。

清水園/ひろ