11日間の手術、入院を経て、清水園の出勤から新年がスタートしました。入院中、気持ち、心の持ち方が自分を左右する、ということを痛感しました。
・ドクターによる天国から地獄 手術室の入口で、明るくにこやかに「頑張りましょう。」と迎えてくださった先生は、私が、この人なら切られても構わないと思った先生ではなく、違う方でした。(違う‼あの先生じゃない‼)と心の中で泣きそうになりながら、死刑台に上るかのようにオペ台に上がりましたが、まもなくお願いした先生が来て「頑張ろうね。」と言ってくれたので、(いたー‼)と嬉しく一気に安心し、麻酔の眠りの中に落ちました。
・健康な食生活 入院前は、朝をしっかり食べていれば、昼や夜はほんの少しでも大丈夫。主菜オンリーで、すぐにお腹一杯になる。でも、間食やアルコールは大好き。そんな食生活でした。 でも、手術後は、この食べた物が新しい筋肉を作って体を動かしてくれるのだ、と筋肉になれ、体を強くしろ、と念じながら、3食完食し続けました。こんなにきちんと食べたのは、人生初めてです。 物を食べるということは、それまで命あったものの命と、自分の命のそれぞれに、真剣に向き合いながら行うものなのだと学び、食べた物が自分を創ることを意識し出しました。
・動き出す 術後2日目、震災の映像を見て、今、ここで何か起きたら、自分は歩けなくて死ぬ、と思ったら、急に恐ろしくなり、なにがなんでも動くようにする、と頑張ったら夜には歩けるようになっていました。 子どもが送ってくる孫の寝返りをしようと頑張ってバタバタ手足を動かしている動画も刺激を受けました。自由を得るために、生物は頑張るんだと感じ、動こう、やろう、と強く思いました。 必要書類を区役所に取りに行って、年末年始の休業を知った時、それまでなら、我慢して待っていたけれど、早く書類が欲しくて、コンビニでマイナンバーを使って申請をしました。無理、と思っていたことが、一つ減りました。
・割り切る強さと、夢 絶対安静だけは、二度となりたくない。排泄を自由にできるのは、かけがえのない幸せだと思いましたが、同室の高齢の方が動けなくても辛抱強く耐えていらっしゃるのを見て、数々の困難を経て生きてこられた方の人生経験の深さは、宝物としてちゃんと体に残るのだと思いました。 深夜のナースコールに駆け回る看護師さんに、「本当に大変でいらっしゃることがよくわかりました。」とお伝えしたら、「仕事ですし、終わったら爆睡するので大丈夫です。」とおっしゃいました。 私は繁忙期で仕事がピークに忙しくなると、くたくたで疲れた顔をしてしまうのですが、病院で働いていらっしゃる方々は、皆さん、いつも繁忙期でありながらも笑顔で仕事をなさっていて、自分の勤め方を猛反省しました。疲れたら、この方々のことを思い浮かべて頑張ろうと思いました。
病室で、退院したら今度こそ、自分のやりたいことをやって、自分の為に生きるんだ、と皆さん熱く夢を語って教えてくださいました。伺っているうちに、私の心にも火がつきました。できない、動けない、と心を縛っていたものから、自分を解き放っていこう、とお話を伺ううちに挑戦意欲が湧き出てきました。
明けましておめでとうございます。皆さまは、加賀象嵌の螺鈿や鐙を御存知ですか。 私は手術後の金属が入った自分も、加賀象嵌のように、他の物を取り込みながら、強く美しくありたいと願うようになりました。金属の入った右足から体中に強さを拡げていって、今年は諦めていた夢に、もう一度挑戦しようと思っています。そして、このお庭のように、心を縛るものから自分自身を解き放ちていきたいと思います。 病室で頂いた熱量を失わずに、皆さまにお会いして、お届けできますように。そして、なりたい自分になろうとする努力を、失いませんように。 本年もどうぞよろしくお願いいたします。
清水園/ひろ
一部不適切な表現箇所を修正しました。お詫び申し上げます。
by hoppo_bunka
| 2025-01-03 17:26
| 清水園
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Comments(2)
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