
先日積もっていた雪は跡形もなく消えてしまいました。12月にしては、暖かい清水園です。書院から眺める自然は美しい、と思いながら、一昨日訪れた新津丘陵の古津八幡山遺跡のことを思い出し、そうだ、これは人の手が入った美しい景色、お庭であって、「自然」そのものではない、と思い直しました。清水園の中の自然は、美しさが追求され、安心して眺めを楽しむことができる、守られた空間であることを、改めて感じました。
考古学の勉強で、一昨日は「史跡古津八幡山弥生の丘展示館」と「新潟県埋蔵文化センター」を見学しに出かけました。展示館の玄関に、「イノシシ注意」の貼紙があり、古津八幡山遺跡に向かう上り道には、「クマ出没特別警報発表中」の看板が立てられていました。
最近頻繁にテレビで見かけるクマの怖い顔が描かれているその看板を見たら、誰もいない山道を徒歩10分、はたして上って行って良いものだろうかと迷いました。もし、クマやイノシシに遭遇しても、誰も私が山に上っていることなんて知らないから、助からないかもしれない、と思うと、天気が良く最高に気持ちが良い日だったのに、急にとても怖くなりました。
それでも、県内最大の円墳を見に今日は来たんじゃないかと、気持ちを奮い立たせてやっぱり見てみたい、行こう、と決心しました。
こんなに警戒しながら山に入ったことは、それまでありませんでした。周囲に目を見張らせて、物音を聞き漏らすまいと耳を欹てながら、でも、速く頂上へと、どきどきしながら山道を上りました。数分しかかからないのですが、襲われたらどうしようと、とても怖かったです。
でも広々とした墳丘に辿り着くと、恐怖より、古墳を見ることができた喜びでいっぱいになり、見晴らしの良さと青空が元気を与えてくれ、弥生時代の暮らしに思いを馳せながら、濠の周りを巡りました。
わずか数分の間でしたが、私も当時の人たちと同じ様に、外敵を警戒し、自分で身を守るために、絶えず感覚を研ぎ澄まそうとしました。守られた環境の中でない限り、自然は畏怖の対象で、現代のヒトは原始に比べると限りなく弱いと感じました。大地も、森も、山も、川も海も、そして動物も、自然は美しいだけではなく、時には牙をむく。考古学を勉強することは、ヒトの辿ってきた歴史を知ることで、それは今を見つめ、生き方を問うことに繋がるのだと思いました。

毎日、「美しい」「趣がある」の一言でお庭の様子を表現していましたが、本当の意味でお庭を見ていなかったのだと思いました。
もっと、もっと、五感を使って、全身で対峙しなければ、本質には迫れないのだと思います。頑張ったつもりではなくて、本当に頑張らなければと思いました。
清水園/ひろ