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本館 中の間ミニコレクション展「樂展 ―楽焼・大樋焼・永楽焼」

だいぶご無沙汰している本館のブログ更新です。(お詫びのしようもございません。)

開催中のコレクション展をご案内します。


中の間のミニコレクション展は6/26(日)まで「樂展」を開催中。

初代長次郎の黒樂茶碗銘「芦」のほか、九代了入の柚味噌皿、十一代慶入の香合など12点を展示。

さらに四代一入の弟子、長左衛門が金沢東郷の大樋村に開窯した「大樋焼」、千家十職の土風呂・焼物師である永樂家の「永樂焼」も参考展示。

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映画「峠 最後のサムライ」がいよいよ本日6/17~上映。ロケ地のひとつである北方文化博物館では「集古館」にて河井継之助ほか北越戊辰戦争にゆかりの人物の書展を開催中。「大広間」では撮影時に実際に使用した、星弘道さんの「忠孝」も掛けています。~8/28迄(予定)

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お庭はハス池まわりのハナショウブはもうまもなく見頃です。この機会にぜひ北方文化博物館へ。

お待ちしております。2022.6.17

(本館こでまり)



# by hoppo_bunka | 2022-06-17 10:46 | 本館の展示案内 | Comments(0)

わたしが拡がる

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 開け放たれた戸。目の前に広がる庭。吹き渡る風。新緑と真っ赤なツツジを映し出す池。ちゃぽんと音がしてゆっくりと広がる波紋。
庭園セミナーの日は、そんなお庭をお茶室の中で体感できます。私も時間を見計らって、ダッシュでお庭に出向きます。一目その景色を味わいたくて。お茶室から眺めるお庭と、その空間は格別なのです。
 心地良く、ずっとここにいたい、と思える時間と場所が身近にある幸せ。次回は7月6日(水)です。ご都合がよろしければ、ぜひお出でください。お庭のもう一つの趣を、お楽しみいただけます。

 風景がもたらしてくれるものは偉大。見た瞬間に、還ってくるあの頃とあの時。普段見えなくても、確実に自分を支えてくれているものが立ち現れます。
 この景色が見たかったんだ、と思った瞬間、涙がこぼれ落ちてくる場所。皆さまもお持ちでしょう。

 私にとって、清水園のお庭は、いつかそのように思い出されるものとなります。私の小さな人生にとって、どんなにそれが喜びと輝きを与えてくれることか。

 先日3年ぶりに母と姉妹旅行をして湯沢温泉に泊まってきました。小学生から社会人になるまで、毎年年末年始に泊まっていた懐かしい思い出いっぱいの湯沢の山並みを見て、会ってから別れるまで、話して、話して、母に触れて、思い出を懐かしんで、あっという間に時が過ぎました。お互いの命が尽きるまで、続けたい家族旅行です。「あの頃」がいくつも、いくつも現れます。若く元気だった父の姿も。

 湯沢の山並みは、私たち親子にとって、特別な景色です。亡くなった父や祖母の元気な姿に出会える。そして、私が子どもにかえることのできる。父の年を追い越してしまった今も。

 風景は人を拡げる。お客さまにとって、清水園もそのひとつとなれますように。

清水園/ひろ

# by hoppo_bunka | 2022-06-14 17:16 | 清水園 | Comments(0)

一期一会

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 死者からのハガキが届いたことがあります。
大学時代に習っていたお茶の先生のご主人からのもので、お亡くなりになった後に親族の方に出すように依頼されていたものでした。
文面にはようやく思いが叶ってあの世に行けたこと、喜びでいっぱいであることと、長年の感謝が綴られていました。

 それを受け取った時にこみ上げてきたのは、驚きと共に、怒りのような感情でした。ふざけるな!と思うと同時に涙がこぼれたのを覚えています。ずっと、「死にたい、早く○○のところに(亡くなられた奥様のところです)行きたい。それなのに死ぬことができない。」とお手紙をいただいていたので、お気持ちは十分理解しているつもりではありましたが、なんか悲しくて悔しくて、おめでとうございますとは思えなかったのです。あなたが亡くなって悲しむ人間もいるんです、と訴えたくなりました。
 人が死ぬということは、大きな喪失感を与えることです。やるせない気持ちになりました。

 お茶の先生には3年間習いました。でもお付き合いは卒業後も30年以上、先生が亡くなられた後も、ずっと続きました。
 卒業して新潟に帰ることになり、最後に教室にご挨拶に伺った時に、お茶室で「先生、一期一会とは、本当にそうですね。」とお互いに涙してお別れをしました。お子さんがいらっしゃらない先生は、大変可愛がって下さり、お稽古の前にご飯を御馳走して下さったり、一緒に歌舞伎を見に連れて行って下さったり、本当にお世話になりました。
 新潟に帰ってからは、お中元、お歳暮のご挨拶と年賀状を差し上げ、お手紙をいただく、といったことを続けていましたが、ある時、先生ではなくご主人からお手紙が届きました。
 そこには、先生が認知症になられたこと、この先のことを考えて介護付きマンションに引っ越されたこと、最近はいろいろなことを忘れてしまったこと、先生のお具合があまり良くないことが書かれてありました。

 これはお見舞いに伺わなければならないと上京しました。先生はご主人のことも、もうわかっていらっしゃらないということでしたが、一瞬昔の記憶が蘇られたのでしょうか。「よく来て下さいました。」とお会いするなり涙をこぼされました。それだけで、ほとんどお話はなさいませんでしたが、お別れする時に、涙を流され見送って下さいました。そしてそれが先生にお会いした最後となりました。

 先生が亡くなられてからは、ずっとご主人との文通が続きました。新潟にいらしたこともありました。御案内をしている中で、「自分も年老いてもう間もなくであろうから、いろいろなことを整理していきたい、ご恩返しをしていきたい、あなたにも。」ということをお話なさいました。「何等かの形で、お送りするので、どうか、何も返すことなく受け取って役立ててほしい。」とおっしゃって、その数か月後に郵便為替が届きました。遺産の一部を差し上げたいとお手紙が添えられていました。
 血縁的には全く赤の他人です。驚くと共に戸惑いました。

 ご主人に最後にお会いしたのは、亡くなられる1か月ほど前でした。「手紙の文字ももう書く気力が無くなり、書くこともままならなくなり最後になると思います。」と震える文字でお手紙をいただいたので、急遽上京しました。かろうじて面会できましたが、お会いしている間もかろうじて意識を向けられているご様子で、目を合わせただけで、すぐまたうつらうつらと眠りに入られました。

 そして届いた一枚の挨拶状で、ご主人の死を知りました。

 清水園のお茶室や、見学先のお茶室に入ると、可愛がって下さった先生とご主人のことを思い出します。今は「習っていました。」などとは言えないくらい、お作法も忘れ、お茶の世界からは遠ざかってしまいましたが、思い出すたびに、しみじみとして涙が出そうになります。愛を込めて人をもてなす。その時間や空間の思い出は、何年経っても色褪せることはありません。
 
 残念ながら、今月行われる予定でした新発田市民茶会は、中止となってしまいました。心を込めたおもてなしを享受できる機会が無くなってしまったことが、とても残念です。
 一期一会のおもてなし、それを忘れずに生きていきたいな、とお庭の周りの茶室を見ながら思います。私と同じように、どんな忘れられない出会いやおもてなしが、ここで起きてきたのだろうと想像します。それこそ翠濤公の時代からずっと。

 6月12日は庭園セミナーでお茶室が公開され見学することができます。受講された後で、相手を想い量ることの大切さや、どなたかを大切にしたいというお気持ちが、きっと深まるセミナーです。私はまだお元気で、お昼ご飯を運んで来て下さった優しい先生のお姿を思い出しました。
 一期一会は一生。

清水園/ひろ








# by hoppo_bunka | 2022-06-02 17:08 | 清水園 | Comments(0)

清水園 6/12日本庭園・茶室のみかたセミナー御案内

エゴノキに可愛らしい花が咲いていました。
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天気が良い日の書院の中。
廊下を歩いて進んだ先の、この景色が好きです。
のどかな雰囲気を感じながら、ゆっくりと庭園を見渡して…
おすすめです☆
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庭園にある5つの御茶室は通常非公開となっていますが、
ご覧になれる機会が来月は6/12(日)にあります。(要申込)
6/12(日)13:30~日本庭園・茶室のみかたセミナー
参加費:2,500円(入園料含む)
必ず、お申込みが必要です。興味のある方はぜひお気軽に♪お申込みください。お待ちしております。清水園0254-22-2659

清水園/さっちゃん

# by hoppo_bunka | 2022-05-26 10:50 | 清水園 | Comments(0)

Oh,能‼ Oh,清水園‼

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 能はお好きですか。私は、ずっとその良さをわかりたいと願いながら、よくわからないまま何年も経ってしまいました。
初めてきちんと能を見たのは、大学生の時です。同級生に能楽師の男の子がいて、学部のみんなに招待券をくれたのです。それで友達と見に行きました。
「安宅」という歌舞伎の「勧進帳」の典拠とも言われているお話で、大変わかりやすくて良かったのですが、それ以降に見た能は、見ていても良さがよくわからず、ずっと積極的に見ようとはしていませんでした。
 姉は、一昨年あたりから「今、一番面白くてはまっているのが能だ。」と言ってくるので、そんなに面白く日本文化の代表のように言われているものを、自分だけ理解できないのはとっても残念な気がしてきます。なんとかしたいと思っていました。

 そこで、馬場あきこ先生が解説をしてくださる時は、できるだけ見に行くようにしました。先生の解説は、大変面白く、能がわからない私でも、その魅力や見どころが伝わり楽しく見ることができます。指導者とはありがたいものだなぁとしみじみして、兼好法師の「少しのことにも先達はあらまほしきことなり。」(ちょっとしたことでも指導者はあってほしいものだ。)という『徒然草』の言葉を実感します。
 少しだけ魅力がわかったような気になって、よしっと意気込んでその後も見に行くのですが、一人で見に行くと、またも眠くなり、つまらなくなってしまい、なんだかがっかりしてしまいます。
 そこで今年は「能楽師に聞く能の楽しみ」という講座を受け、休みの日にはできるだけ見に行くことを心掛けています。解説を聞くと、見ていて楽しいと感じることができ、それがとっても嬉しかったので、もっとわかるようになりたいと思うようになりました。

 能の動きはあまり大きなものがなく、現代のダンスのように、人々を魅了するものはほとんどないように、今の私には見えます。
でも、かっこいいな、あんな風に踊れたらな、と憧れるマイケルジャクソンの伝説の2分間の静止を、もっと長い時間をかけてシテが演じているとしたら、あの静止に込められている思いを想像することができたとしたら、その時初めて見えてくるものが感動という形で胸に押し寄せてくるのだろうな、と解説を何度か聞いているうちに、考えるようになりました。

 観客を惹きつけるのに、間の取り方がとっても大切なことは、ステージに立つ人はみんな知っているけれど、マイケルジャクソンのように静止し続けることは、なかなかできないことだそうです。次は静止の場面に注目をしながら能を見てみようと思います。 

 能は武士に愛され流行した芸術です。武士が惹きつけられたものは、いったい何だったのか、そんなことも併せて見たいです。
清水園の書院にも、能舞台に用いられたと伝えられている部屋があり、舞台の間と呼ばれています。
 庭やお茶、能と、自分が興味あるものが、全てここにある不思議。清水園の文化的な価値を改めて認識し、誇りに思います。

 いつか皆さまに、能の素晴らしさを自分の言葉でお伝えできるようになった時に、清水園の素晴らしさも、もっとお伝えできるようになれますように。「庭園・茶室のみかたセミナー」のように、日本の文化の素晴らしさを教えて下さる先達の方々のもとで、学ぶ機会を増やしていきたいと思います。

Oh,能‼ Oh,清水園‼

清水園/ひろ

 


# by hoppo_bunka | 2022-05-19 16:41 | 清水園 | Comments(0)